IBM、世界初の商用量子コンピューティング統合システムを発表

米国ニューヨーク州ポキプシーに企業顧客向け「Quantum Computation Center」を開設へ

TOKYO - 10 1 2019:
2019年1月10日

[米国ニューヨーク州ヨークタウン・ハイツ - 2019年1月8日(現地時間)発/PRNewswire(英語)]

IBM(NYSE:IBM)は本日、CES(Consumer Electronics Show)2019で、科学やビジネスでの利用を目的として設計された世界初の汎用近似量子コンピューティング統合システム「IBM Q System One™(英語)」を発表するとともに、2019年中にニューヨーク州ポキプシーに初の企業顧客向け「IBM Q Quantum Computation Center」を開設する計画を明らかにしました。

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IBM Qシステムは、従来型のシステムで対処するにはあまりにも複雑で、指数関数的に拡大すると考えられている問題に将来的に取り組むことを想定して設計されています。量子コンピューティングの今後の応用例として、財務データをモデル化する新たな方法の発見や、より良い投資を行う上で鍵となる世界的リスク要因の特定、極めて効率的な物流の実現に向けたグローバル・システムをまたがる最適パスの発見と輸送車両運用の最適化などが挙げられます。

IBMの科学者、システム・エンジニア、工業デザイナーによって設計された「IBM Q System One」には、安定性と信頼性をもたらし、継続的にビジネス利用できる、洗練されたモジュール型のコンパクト設計が採用されています。研究所の壁を越えて運用できる史上初の汎用近似超伝導量子コンピューターを実現します。

IBMは、連携して動作するよう最適化された統合アーキテクチャーに複数のコンポーネントを組み込む従来型のコンピューターと同様のアプローチを、この初の汎用量子コンピューティング統合システムによって量子コンピューティングにも適用します。IBM Q System Oneは、利用可能な最先端のクラウド・ベース量子コンピューティング・プログラムとして連携して機能する、次のような複数のカスタム・コンポーネントで構成されています。

IBM Q Quantum Computation Center

IBMは、2019年後半にニューヨーク州ポキプシーに「IBM Q Quantum Computation Center」を開設し、トーマス・J・ワトソン・リサーチ・センター(ニューヨーク州ヨークタウン)のシステムがすでに含まれている「IBM Q Network」の商用量子コンピューティング・プログラムを拡張する予定です。新設されるセンター内には、世界最先端のクラウド・ベース量子コンピューティング・システムがいくつか配置されます。それらのシステムには、IBMと協力して量子コンピューティングを進化させ、ビジネスや科学における実用的用途を探究することを目的とした、業界をリードするFortune 500企業、スタートアップ、学術研究機関、国立研究所から成る世界規模のコミュニティー「IBM Q Network」のメンバーがアクセスできるようになります。

IBMポキプシー拠点のコンピューティングにおける歴史は、1950年代のIBM初の量産型ビジネス・コンピューターであるIBM 700シリーズや、コンピューター・ハードウェアに対する企業の考え方を一変させて世界に革命をもたらした1960年代のIBM System/360の開発にまで遡ります。世界最高峰の性能を誇る従来型システムの1つであるIBMメインフレームの本拠地となったIBMポキプシー拠点は、量子コンピューターの運用に不可欠なハイパフォーマンス・コンピューティング・システムや高可用性データセンターへのアクセスをはじめ、量子コンピューティング・センターの運営に必要な技術力、インフラストラクチャー、専門知識を兼ね備えた、世界でもまれな場所の1つに位置付けられます。

ハイブリッド・クラウド担当シニア・バイス・プレジデント兼IBM Researchディレクターであるアーヴィン・クリシュナ(Arvind Krishna)は、次のように述べています。「IBM Q System Oneは、量子コンピューティングの商用化に向けた大きな一歩です。ビジネスや科学向けの実用的な量子アプリケーションを開発する取り組みの一環として、研究所の壁を越えて量子コンピューティングを拡張する上でこの最新システムが重要になります。」

かつてないデザイン:IBM Q System One

IBMは、IBM Q System Oneの設計に向けてIBM Researchの科学者やシステム・エンジニアと連携する、工業デザイナー、アーキテクト、およびメーカーによる超一流のチームを編成しました。メンバーには、英国に拠点を置く工業デザイン・スタジオのMap Project Officeやインテリア・デザイン・スタジオのUniversal Design Studioのほか、ルーブルのモナ・リザやロンドン塔のクラウン・ジュエルをはじめ、いくつかの世界で最も貴重な美術品を保護する美術館のハイエンドな陳列ケースを手掛けたミラノ拠点のメーカーであるGoppionが含まれます。

これらの協力者が、ビジネス用途向けに特別に構築されたガラスで囲まれた高気密環境で何千ものコンポーネントを一元管理する、初の量子システムを共同で設計しました。本システムは、商用量子コンピューターの進化における節目となるものです。

この統合システムの目的は、量子コンピューティングで使用される量子ビットの質を継続的に維持するという、量子コンピューティングの最も困難な課題の1つに対処することにあります。強力でありながらも壊れやすい量子ビットは、相互接続された機器の振動や温度変動、電磁波による環境雑音などの影響で、その特別な量子特性を(最先端の超伝導量子ビットの場合)通常100マイクロ秒以内で瞬く間に失ってしまいます。量子コンピューターとそのコンポーネントに対して慎重な設計と分離が必要になるさまざまな理由の1つに、このような干渉からの保護が挙げられます。

IBM Q System Oneの設計には、厚さ約1.3センチメートルのガラスを使った全辺約2.7メートルのケースが採用されており、ダウンタイムを最小限に抑えながらシステムのメンテナンスとアップグレードの作業を簡素化するために設計された「ロト・トランスレーション」(roto-translation)と呼ばれる、2つの転位軸を中心とするモーター駆動の回転によって容易に開く、密閉された高気密の筐体を形成しています。これも、IBM Q System Oneが信頼できるビジネスでの利用に適していると言える革新的な特徴の1つです。

一連の独立したアルミニウムとスチール製のフレームがシステムの低温保持装置、制御電子回路、外装ケーシングを1つにまとめながらも分離する役割を果たし、「位相ジッター」や量子ビットのデコヒーレンスにつながる可能性のある振動干渉の回避に役立ちます。

CESでは、IBM Q System Oneのレプリカが展示される予定です。詳細についてはこちら(英語)をご覧ください。

この新しいシステムは、クラウド・ベースのIBM Q Experienceと、ビジネスや科学用途向けの商用IBM Q Networkプラットフォームによって、プログラム可能な汎用量子コンピューティングを一般公開する業界初の試み「IBM Q」の新たな進化を示すものです。無料で一般提供されているIBM Q Experience(英語)は、2016年5月以降継続して運用されており、これまでに10万人を超えるユーザーによって670万回以上の実験が行われ、サード・パーティーの研究論文が130本以上発表されてきました。ほかにも、量子コンピューティング・プログラムの開発と運用を目指す開発者によって、オープン・ソースのフルスタック型量子ソフトウェア開発キット「Qiskit(英語)」が14万回以上ダウンロードされています。また、IBM Q Network(英語)には、最近新たにアルゴンヌ国立研究所、欧州素粒子物理学研究所、エクソンモービル、フェルミ国立加速器研究所、ローレンス・バークレー国立研究所が加わりました。

IBM Qについて

IBM Qはビジネスおよび科学アプリケーション向けの商用汎用量子コンピューティング・システムの構築に向けた業界初のイニシアチブです。量子コンピューターに関するIBMの取り組みの詳細は、http://www.ibm.com/ibmq(US)をご覧ください。

当報道資料は、2019年1月8日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2019-01-08-IBM-Unveils-Worlds-First-Integrated-Quantum-Computing-System-for-Commercial-Use#assets_all(英語)

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IBM Q Network™、IBM Q System One™およびIBM Q™は、International Business Machines Corporationの商標です。