IBM Research、磁気テープの記録密度で記録を更新


TOKYO - 20 5 2014:

2014年5月20日

IBM Research、磁気テープの記録密度で記録を更新
増加する大量のビッグデータを保存、保護、データ・アクセスを実現する
テープ・ストレージ技術の重要な成果

[米国ネバダ州ラスベガス、2014年5月19日(現地時間)発]

IBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長、社長兼CEO:バージニア・M・ロメッティ、NYSE:IBM)の研究チームは本日、低コストのリニア方式塗布型磁気テープにおける新記録、1平方インチあたり859億ビットの面記録密度を実証したと発表しました。この記録は、コンピューター産業において最も回復力と信頼性に富み、かつ手頃なビッグデータ向けデータ・ストレージ技術が大きく進歩したことを意味しています。

この記録密度で、業界標準のLTO(Linear Tape Open)テープ・カートリッジに最大154兆バイト(154テラバイト)の非圧縮データ*を格納できるようになります。このデータ量は、最新の業界標準磁気テープ製品であるIBMの第6世代LTOテープ・カートリッジの容量の約62倍にあたります**。154テラバイトのデータは書籍1億5千4百万冊(収納するにはラスベガスからワシントン州シアトルまでの長さの書棚が必要)分のテキストに相当します。

この新記録は、富士フイルム株式会社が開発した新しい先進テープの試作品を用いて達成しました。10年に満たない期間で、IBM Researchは富士フイルムとの協業で3度目の新記録を達成しています。

IBMの研究チームは、ビッグデータをvolume(容量)、variety(種類)、velocity(スピード)、veracity(正確さ)という4つの側面に分類し、これらいわゆるビッグデータの「4つのV」が2020年までに40ゼッタバイト(40兆ギガバイト)のデータを担うと捉えています。データの多くは、アーカイブ映像、バックアップ・ファイル、災害復旧用のレプリカ、法規制順守のために必要な情報の保存などの保管データです。テープ・ストレージはハードディスクに比べてエネルギー効率とコスト効率の面で優れているため、ビッグデータの保管、保護、データ・アクセスに適した技術です。

たとえば、Large Hadron Collider (LHC)は、世界最大で最も強力な粒子加速器です。LHCの最初の3年間の稼動期間が終了するまでに、100ペタバイトを超える物理のデータは、欧州合同原子核研究機関(CERN)の大容量記憶システムに格納されました。大半のデータは、52,000を超える異なる種類のテープ・カートリッジに保存されており、科学者が永続的にデータにアクセスすることができ、宇宙に関する基本的な質問に回答できる日がいつかくるでしょう。

1平方インチあたり859億ビットという快挙を達成するため、IBMの研究チームは以下を含むいくつかの新しい重要な技術を開発しました。

2002年以来、IBMは富士フイルムと緊密に協力してBaFe磁性体をベースにした次世代のデュアルコート磁気テープの最適化を図ってきました。この時期、IBMチューリッヒ研究所は読み書きヘッドのポジショニングのコントロール精度を飛躍的に向上させ、1/2インチ幅テープに配置可能なトラック数を大幅に増やしました。また、極小の磁気ビットの読み取り精度を向上する先進的な検出手法を新しく開発したことで、線記録密度 が56パーセント以上も向上し、わずか90ナノメートル幅の読み取りヘッドの活用を可能にしました。

IBMの研究チームは、将来にわたり磁気テープのさらなる高密度化による新規メディア技術の研究を継続していきます。今月上旬に開催された2014 Intermag コンファレンスにて、IBMアルマデン研究所の研究チームは、1平方インチあたり859億ビットを超えてテープの面密度が増大し続ける可能性を示しました。IBMの研究チームは、2つのテスト装置を使ってスパッタ媒体の小さなサンプルの磁気特性を研究しました。この結果は、高度に制御された実験室環境下における重要な飛躍的進歩です。さらなる研究がまだ必要ですが、低コストの微粒子媒体が限界に達しても、スパッタ媒体によって磁気記録の高密度化を継続する可能性があります。

IBMには、磁気テープ・データ・ストレージにおけるイノベーションの長い歴史があります。IBMの最初の商用テープ製品となる726 磁気テープ装置が発表されたのは60年以上前のことでした。この製品では、約2メガバイトの容量を持つ1/2インチ幅テープのリールが使用されていました。本日の発表で示された記録密度により、IBMのテープ・ドライブ製品第1号の7千7百万倍という容量の増加が実現します。この発表は、磁気テープ技術におけるIBMの変わらぬ取り組みとリーダーシップを改めて示すものです。


磁気テープ記録の技術的詳細

IBMの世界記録は、磁気テープ・システムの4分野で特筆すべき改良が実現したことで達成されました。

  1. 新しい高密度微粒子NANOCUBIC™BaFe磁気テープ:
    さらに進化したNANOCUBIC™技術は、高密度データ記録に欠かせないBaFe磁気粒子容積を減少させながら、記録データの長期的な保存性を確保する熱安定性を維持しています。富士フイルム株式会社がIBMの研究者たちとの緊密な協力のもとに開発した進化したNANOCUBIC™テープの次世代バージョンは、ナノ・コーティング、ナノ・ディスパーション技術、垂直配向のBaFe磁性体を使用しています。これにより、コストの高い金属スパッタリングや蒸着の手法を使わなくても、データを高密度で記録できます。

  2. 改良された読み書きヘッド技術:
    IBMサンノゼ・テープ・ヘッド開発チームとIBMチューリッヒ研究所の研究チームは、著しくより強い磁場を生む新しい読み書きヘッド技術を開発しました。この新しいヘッド技術は、テープに記録されたデータの長期的な記録の安定性を確保する保磁力の増加に伴い少量の磁性粒子の活用を可能にしました。

  3. ナノメートル精度のヘッド・ポジショニングを実現する先進的サーボ制御技術:
    精力的により高いトラック密度増大を目指して、IBMの研究チームはトラック追従性能向上のために以下に挙げる4つの先進技術に取り組むことで、第6世代LTOフォーマットに比較して配置可能なデータ・トラック数を27倍以上に増やしました。1) 低ノイズ・テープ駆動システム、2)テープ上に書き込むサーボ・パターンの改良と3)ナノメートルの解像度でサーボ・パターンから位置情報を検出する手法。4) H無限大制御を基盤にした先進トラック追従コントローラー。これらの技術を全て融合することによって、当研究チームは目標トラック位置との標準偏差がわずか10.3ナノメートルというトラック追従性能を実証しました。これらの技術に90ナノメートル幅のGMR読み取りヘッドを組み合わせることにより、177ナノメートルのトラック幅を実現することが可能となります。

  4. データ・チャネルの革新的な信号処理アルゴリズム:
    先進のタイミング回復スキームとDD-NPML(data-dependent noise-predictive, maximum-likelihood)検出スキームを融合させた新しいデータ・チャネルならびに新しい反復復号スキームにより、90ナノメートル幅のGMR読み取りヘッドで1インチあたり600,000ビットの線密度で新しいBaFeメディア上に記録されたデータの正確な読み出しを実行できます。これらの技術の融合により、最新のIBMのエンタープライズ・テープ・ドライブで達成することができるユーザー・ビット誤り率と同様の性能を確保することができます。

実証の追加技術詳細は、今年8月11日から13日に米国カリフォルニア州バークレーで開催されるTMRCコンファレンスにて発表されます。

* 第6世代LTOカートリッジのフォーマットと同様のフォーマットのオーバーヘッドと仮定し、実証に使われたより薄いアラミド・テープ基板によって実現された48パーセントのテープの長さの増加を考慮しています。

** 2012年に発表された第6世代LTOカートリッジは、長さ4.02 x 幅4.15 x 高さ0.85 (102.0 ミリメートル x 105.4 ミリメートルx 21.5 ミリメートル)の形状に2.5テラバイトの情報を保存することができます。


当報道資料は、2014年5月19日(現地時間)にIBM Corporationが発表したものの抄訳です。原文は、下記URLを参照ください。
http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/43945.wss (US)
画像は、下記URLからダウンロードください。
https://www.flickr.com/gp/ibm_research_zurich/HY2177/

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