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東大医科研が「Watson Genomic Analytics」を使ったがん研究を開始

コグニティブ・コンピューティング・システムの活用により、研究者ががん細胞ゲノムに存在する遺伝子変異情報に基づいたゲノム医療・個別化医療の研究を推進することを支援

TOKYO - 30 7 2015:

2015年7月30日

東京大学医科学研究所(以下、東大医科研)と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は本日、「Watson Genomic Analytics」(ワトソン・ジェノミック・アナリティクス)を活用して先進医療を促進するための新たながん研究を開始することを発表します。コグニティブ・コンピューティング・システムの活用により、研究者によるがん細胞の全ゲノムに存在する遺伝子変異情報に基づいたゲノム医療・個別化医療の研究推進を加速させます。東大医科研は、北米以外の医療研究機関では初めて「Watson Genomic Analytics」を利用します。

日本の人口が高齢化するにつれて、がんの罹患率も高くなっています。がんは、日本人の最大の死亡原因となり、(*1) 日本人の半数はその生涯においてがんに罹患するとも言われています。腫瘍の発生臓器に応じて、化学療法、放射線治療、手術といった標準的な治療法が行われていますが、標準的な治療法では完治できない患者が沢山存在します。がん細胞のゲノムには数千から数十万の遺伝子変異が蓄積しており、それぞれのがん細胞の性質は変異の組み合わせによって異なっています。そこで、がん細胞のゲノムに存在する遺伝子変異を網羅的に調べることで、その腫瘍特有の遺伝子変異に適した治療方法を見つけ、効果的な治療法を患者に提供することが可能となります。

がん細胞のゲノムを調べ、それぞれのがんに合った治療を提供する個別化医療の進歩はがん治療に立ち向かう人々に希望を与えますが、その実現には全ゲノム・シークエンシング(*2)から得られたデータを解析するための複雑で大規模なビッグデータ解析が必要となります。がん細胞の全ゲノム情報はおよそ60億文字分のデータに相当し、遺伝子解析技術の進歩は、これらの全ゲノム情報を読み取ることを可能としました。また、インターネット上には、がん細胞のゲノムに存在する遺伝子変異と関連する研究論文や、臨床試験の情報など膨大な情報があります。Watsonはこのような膨大な情報を迅速に参照、分析し、がんの原因となる遺伝子変異を見つけ出すとともに有効な治療方法の可能性を提示します。

東大医科研の宮野悟教授は次のように述べています。「私たちの研究チームは、全ゲノム解析に基づいた個別化医療を探求しており、Watsonは私たちの研究を大幅に進める可能性を提供してくれます。Watsonはクラウド型のソリューションであるため、我々研究者はゲノムデータや医学研究の情報をすばやく集約し、分析に利用できます。また、医学研究の情報を患者にとって有効である可能性をもった治療法を見出すために活用する上で、Watsonはクラウド基盤に構築された膨大な知識ベースを利用して私たちを支援してくれます。」

東大医科研では、「Watson Genomic Analytics」の活用により、特定された遺伝子変異情報を医学論文や遺伝子関連のデータベース等の、構造化・非構造化データとして存在する膨大ながん治療法の知識体系と照らし合わせることが可能となります。そして「Watson Genomic Analytics」は科学的に裏付けられたエビデンス(*3)と共に、有効である可能性を持った治療方法を提示します。

日本IBMの執行役員ワトソン事業部の吉崎敏文は次のように述べています。「IBMの新しいWatson Healthの取り組みは全て患者中心の医療を進めるものであり、『Watson Genomic Analytics』もまさにこれを目指しています。東大医科研と当社の目標は、研究者が特に個人の遺伝子変化を対象としたより幅広い治療法を発見することを促進することです。」

今回のがん研究では東大医科研が有するスーパーコンピュータ「Shirokane3」と、クラウド基盤で稼働する「Watson Genomic Analytics」が連携し 、研究を進めていくためのビッグデータ解析基盤とします。 将来的には臨床応用への可能性を検証していきます。

*1 厚生労働省 政策レポートhttp://www.mhlw.go.jp/seisaku/24.html
*2 DNAを構成する塩基(A - アデニン、G - グアニン 、T - チミン、C - シトシン)配列の決定
*3 科学的な裏付け

コンピューティング新時代のパイオニア、IBM® Watson について

Watsonは、コンピューティングの新しい時代を代表するコグニティブ・コンピューティング機能を初めて実用化しました。クラウドから提供されるシステムは、大量のデータを分析し、自然言語による複雑な質問を理解し、根拠に基づいた回答を提示します。また、Watsonは過去の会話から価値や知識を継続して学習します。Watsonを利用することで、開発者やパートナー企業は、業界を変革し、専門家の業務を支援し、重要な課題を解決するコグニティブ・コンピューティングの機能を活用したアプリケーションやサービスを構築しています。

IBMは「IBM Watson Health」および「Watson Health Cloud」基盤により、コグニティブ・コンピューティング、アナリティクス、セキュリティ、クラウドを今後も強化していきます。この部門は、日々生み出される膨大な個人の健康データから得られる新しい洞察により医師、研究者、健康保険や個人の革新能力の向上を支援しています。「Watson Health Cloud」基盤は情報を匿名化、共有化し、ダイナミックに増大し続ける臨床、研究に関する集合データと組み合わせます。

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IBM Watson関連の報道資料: http://www.ibm.com/press/us/en/presskit/27297.wss

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